受験生争奪は中学受験だけではない

中堅から下位校の多くの大学は入学基準をぐっと下げてでも、生徒数のかき集める。それでも定員割が起こる。一方の東大は国際的な大学を目指して全国から優秀な人間をさらに集めようとする。

地方の国立大学は、東大の動きにみなビックリしているようですが、びっくりするほうが間違っている。生徒が集められなければ給料はもらえないのですから。


2007年11月14日  


大学の受験者争奪戦が、ここ数年で様変わりしている。従来はどっしりと構えていた東京大が、旧帝大や有力私大と組んで全国各地で説明会を開き始めた。京都大は9月、立命館大と合同で初めて九州に乗り込んだ。強敵の相次ぐ「来襲」に危機感を募らせる地方では、近隣の大学同士がスクラムを組み、「地盤固め」に余念がない。

東大が主催した大学説明会。東大のほかに9大学のブースが設けられていた=8日、神戸市中央区で
  
 「東大は世界のトップランナーになれる人材を求め、かつ育成します」

8日、神戸市中央区であった東大主催の進学説明会。高校生ら約300人に、大型スクリーンから小宮山宏総長が呼びかけた。東大と京大、九州大、岡山大など国立10大学が机を並べ、個別相談に応じた。

東大は2年前から全国で合同説明会を始めた。今年は神戸のほか、高松、東京、名古屋、金沢、札幌ですでに開催し、11月に福岡で開く。  「地方での説明会は幅広い地域の受験層を掘り起こす足場。海外の大学への進学を目指す優秀な人に『日本で学んでからでも遅くない』と訴える機会でもある」と、東大の渡辺省三・本部入試グループ長は話す。

東大生に占める首都圏出身者の割合はほぼ半数。「日本の最高学府」として、もっと幅広く学生を集めたいという思いが東大には強い。河合塾教育情報部の服部周憲(しゅうけん)部長は「アジアの優秀な留学生が日本を飛び越して米国に行き始めたことへの焦りが東大には強い」とみる。04年度に国立大が法人化され、研究成果などの実績が従来以上に求められるようになったことも背景にある。

東大主催の説明会には他の旧帝大や早稲田大、慶応義塾大も参加する。しかし、ある国立大の入試担当者は「東大ばかりが目立つ。様々なチャンネルを持たないと埋もれてしまう」と漏らす。

京大は9月30日、福岡市内で、立命館大と合同で進学説明会を開いた。「京都で学ぶ」という題の公開討論では、九州出身の京大生が約250人の参加者を前に京都の魅力を語った。

「東京に比べて、時間の流れがゆったりしている。個性的な学生も大勢いて刺激になります」

両大学は昨年初めて合同説明会を東京で開いた。京大が主催して関西以外で説明会を開いたのも昨年が初めてだった。今年、会場を福岡にしたのは「九州には東京指向の生徒も多い。京都ブランドを早いうちに受験生に意識付けて西日本を固めたい」(京大入試企画課)との思いからだ。攻めの姿勢を見せる東大を意識せざるを得ない。

神戸大も一昨年から東大主催の説明会に参加しているが、それとは別に今年は東京、名古屋、広島、岡山の4会場で単独の説明会を開く。入試広報室の西橋英夫コーディネーターは「東大が攻めてきたのは相当のインパクトがあった。それ以上に努力しないと」。

京大と合同説明会を開く立命館大は昨年、東大にも「メンバー入り」を申し込んで認められ、今年も東大主催の説明会に4回参加する。入試担当者は「国立大との併願者を引きつける絶好のチャンス」。有名国立大と組むことで、ブランド価値の向上もめざす。

一方、地方の大学は危機感を強める。九州、中四国、東海北陸などの大学は、国立大同士で「地域連合」をつくり、昨年から各地で合同説明会を開き始めた。

広島大や香川大などでつくる「中四国連合」は今年、岡山と高松の2会場で説明会を開催。生活費が安いことや、地元企業だけでなく大企業への就職実績も高いこともアピールした。香川大アドミッションセンターの真鍋芳樹教授は「中四国の大学にとって受験生の流出は共通の課題。複数の大学と協力して、まずは足場をきっちり固めたい」と意気込む。

入試事情に詳しい河合塾教育情報部の服部周憲(しゅうけん)部長の話 
東大がドンと構えていられなくなったのは、アジア諸国の優秀な留学生が日本を飛び越して米国に行き始めたことも背景にある。東大さえも動き出したとなれば、他大学がピリピリするのも当然だ。近くの大学同士が連合を組み、地元を固めたうえで他地域にも目を向ける動きは加速するだろう。04年度に国立大が法人化され、卒業生の進路や研究成果といった実績が今まで以上に求められるようになった。私学も含め、優秀な受験生の争奪戦はますます激しくなる。

追い込みのシーズン「秋」の過ごしかた

2007/10/27 Nikkei Kansai


中学受験に挑む児童にとって秋は追い込みのシーズン。この時期にどこまで成績アップを達成できるかが“勝負の分かれ目”だが、学校行事も多く勉強との両立が難しい季節だ。親子が二人三脚で取り組むのが中学受験。我が子に余計な重圧を与えず、やる気や実力を引き出すにはどう接すればいいのか。専門家や経験者らに注意すべきポイントを聞いてみた。

来年の関西の私立中学入試は1月19日に始まる。中学受験を目指す家庭ではそろそろラストスパートに入る時期だ。だが「焦りは禁物」とクギを刺すのは、子どもの受験を終えた母親らが運営する応援サイト「せんぱいまま・ねっと」代表の山口実千代さん。

中学受験は親も初体験というケースが多い。試験日が迫っても「この勉強方法が良い」など、周囲の声に振り回されがち。山口さんは「我が家のスタイルを守った方が気負わずに力を出しやすい」とアドバイスする。山口さんも長女と次女の受験で「塾から帰った後はゆっくりさせ、家では勉強を無理強いしない」という習慣を守った。

秋は修学旅行や運動会、学芸会など学校行事が集中し、成績が不安定になる子も多い。塾通いや模試のために行事や練習を休ませる親もいるが、山口さんは積極的な参加を勧める。「中途半端に休んで悔いを残すより思い切り楽しむ方が気分転換になる。塾を少しくらい休んでも大勢には影響しないので、親も行事を楽しむ余裕がほしい」と話す。

ストレスや疲労把握を

勉強に励む我が子に「頑張って」と声をかけたくなるのは人情。だが関西で進学塾を展開する浜学園(兵庫県西宮市)の橋本憲一学園長は「子どもは十分頑張っている。安易な『頑張れ』は反発を招きかねない」と指摘する。「この問題はよく解けたね」というように、具体的に褒める方が子どものやる気を引き出せる場合が多いという。

「絶対にこの学校に入りなさい」といった“押しつけ型”や、「なぜできないの」など“追及型”の発言も避けた方が良い。悔しさをバネに奮起する子もいるが、受験に嫌気が差してしまうリスクもある。

秋が深まるにつれ模試も増えるが、結果に一喜一憂するのも避けたい。橋本学園長は「本番直前に模試の結果を並べ、『これだけ頑張った』と自信を付けさせるだけでいい」と話す。

緊張をほぐす最後の手段は「中学受験がすべてではない」と割り切ること。子どもの受験をめぐる心理問題に詳しい芦屋大大学院の井上敏明教授は「子どもが塾通いや受験勉強で受けるストレスや疲労を常に把握し、適切に対処するのが親の役割。無理な勉強を続け、志望校にこだわりすぎると親子で心身に変調をきたす恐れもある」と語る。

悩みは早めに専門家に相談するのが得策だ。臨床心理士による個別カウンセリングを無料で開く浜学園のように、塾も保護者の心のケアに乗り出している。「せんぱいまま・ねっと」では受験を経験した母親がメールで相談に応えてくれる。我が子のためにも1度のぞいてみては……。
(大阪社会部 羽鳥大介)

 

 

 
 
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